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疾患別の説明

      定位放射線治療(頭頸部領域):stereotactic radiotherapy
          転移性脳腫瘍   原発性脳腫瘍   その他の腫瘍

      体幹部定位放射線治療(ピンポイントの放射線治療):body stereotactic radiotherapy
          早期肺がん   転移性肺腫瘍   肝細胞がん   肝臓がん門脈塞栓例   局所進行肺がん例   その他の腫瘍

      原体照射:3-D conformal radiotherapy
          前立腺がん   乳がん   その他の腫瘍





 定位放射線治療(頭頸部領域)
    メスを使わずに脳腫瘍をピンポイントに制御
    転移性脳腫瘍ではすでに標準的治療法
    当院ではシェルとバイトブロックを用いた痛みのない治療法を採用
頭部定位放射線治療の概念図(アーク)

  定位放射線治療とは頭頸部(脳を含む)領域の腫瘍に対する高精度の治療法です。
  原理は患者さんの体(頭蓋骨)をしっかり固定し、高精度に腫瘍のみ狙い撃ちをする方法です。右図のように標的を治療装置の回転中心に据え、色々な方向から少しずつ放射線を照射します。これにより病巣には常に放射線が当たるので集中して照射することが可能であり、その周囲は放射線のビームが通過するときのみしか放射線が当たらないため、効果が高く副作用の頻度は少ない治療が実現可能なのです。
  当院ではCT−ライナック同室のシステムの特徴を生かし、患者固定は患者の顔面を覆うシェルというお面により固定し、侵襲的な頭蓋骨固定システムは採用していません。そのため固定に伴う苦痛はとても軽減されます。


  当院で定位放射線治療を行う際に患者さんにお渡している説明書をPDF ファイルで取り出せますので、参考にしてください。

頭部定位放射線治療の概念図(機器)
転移性脳腫瘍(1) 転移性脳腫瘍(1)

全脳照射とは脳に転移が多数存在するとき、脳全体に対し放射線をかける方法です。
この患者さん(左図)では全脳照射にて施行し腫瘍は小さくなりましたが,完全に消失しませんでした。そのため残存した腫瘍に対し定位放射線治療を追加し,治療3ヶ月後には完全に消失しています。
(左から全脳照射前,全脳照射後定位放射線治療前,治療3ヶ月後)
転移性脳腫瘍(2)
転移性脳腫瘍(2)

左図は転移性脳腫瘍の患者の治療前と治療後の画像です。頭にメスを入れずに奥深くの手術不能の領域でも治療できます。
(左から定位放射線治療前,治療3ヶ月後,治療6カ月後)

適応となる疾患は転移性脳腫瘍のほかに、原発性脳腫瘍や髄膜腫、聴神経腫瘍、下垂体腫瘍、松果体腫瘍、また良性疾患である脳動静脈奇形があります。いずれも定位放射線治療のみを施行する場合と、通常の放射線治療を併用する場合があります。







 体幹部定位放射線治療(ピンポイントの放射線治療)
    早期成績では手術同等の局所制御率、生存率を誇る
    低肺機能等で手術不能な患者さんでも治療可能
    治療は約30分×5回寝ているだけ。外来治療も可能

  体幹部定位放射線治療とは肺がんや肝臓がんなど体幹部の腫瘍に対する高精度の治療法です。すでに平成16年4月に保険適応になっています。
  当院の放射線治療システムは主にこの体幹部定位放射線治療を精度よく、効率的にできるように設計されています。また、当院の治療医は,以前勤務していた都立広尾病院において120例を超す豊富な症例経験があります。その対象となる疾患は原発性肺がん、転移性肺がん、原発性肝がん、転移性肝がんが主なものです。その他胸腺腫や、リンパ節転移、副腎転移等にもその技術を応用して治療を施行しました。また他施設では適応とならないような比較的大きな局所進行がんにも積極的に施行してきました。
  治療成績は他の施設と同様に原発性肺がんT1-2N0M0でしたら、局所制御率は90%を超えています。大腸がんの転移性肺がんは放射線感受性が低いせいか、若干成績が落ちるようです。逆に肝臓がんは100%の局所制御率を誇ります。手術、体幹部定位放射線治療以外の局所療法としては肺腫瘍ではcrioablation(冷凍凝固療法)、肝臓がんではPEIT(経皮的アルコール注入療法)、RF(ラジオ波焼灼療法)、TAE(肝動脈塞栓療法)等があります。当院では体幹部定位放射線治療に限らず局所療法として最適な方法を患者さんにお話したいと考えています。

  当院で定位放射線治療を行う際に患者さんにお渡している説明書をPDFファイル(肺の治療用肝臓の治療用)で取り出せますので、参考にしてください。

肺がん(早期)

  右の図は早期肺がん患者に対する放射線治療の線量分布図です。
  上図が体幹部定位放射線治療によるものです。黄緑色に塗りつぶしてある領域がしっかりと放射線が当たり,効果も副作用も出現する部位です。
  下図が同じ患者さんに対し,従来通りの前後対向2門による放射線治療をした場合の線量分布図です。同様に黄緑色の領域がしっかりと放射線治療が当たる部位となります。
  一目で上図の方が黄緑色の卵形の領域が小さいことが分かります。そのため体幹部定位放射線治療の方が副作用である放射線肺臓炎の出現頻度が小さくなります。副作用の出現頻度が小さくなるため、病巣にはより大線量の照射が可能になります。すなわちがんを制御する確率も高くなるのです。
  このような理由で,体幹部定位放射線治療は従来の治療法と比較して,効果も大きく,副作用も少ないのです。

肺の線量分布:定位
肺の線量分布:対向2門
原発性肺がん(腺がん)(1)

左の写真は原発性肺がん(腺がん)の患者さんの右肺のCTです。高齢のため手術不能でしたが、体幹部定位放射線治療を行い、その後の経過も良好です。
左の写真は治療計画時の線量分布図です。地図の等高線と同じように腫瘍には高線量あたり、周囲には低線量照射されることが示されます。
真ん中の写真は治療後3ヶ月後のCTです。局所的な放射線肺炎像が認められます。
右の写真は治療後3年後のもので線状影を残すのみとなっているのがわかります。

(左から放射線治療前,治療3カ月後,治療3年後)
原発性肺がん(腺がん)(2)

この症例も原発性肺がん(腺がん)です。
左から治療計画線量分布図、1カ月後、3ヶ月後、1年後のCT像です。

(左から治療計画線量分布,治療1カ月後,治療3カ月後,治療1年後)
原発性肺がん(扁平上皮)

この症例も原発性肺がん(扁平上皮がん)です。時間とともに腫瘍が縮小し、また陰影が肺門側に移動していくのがわかります。

胸腺腫再発(線量分布)

この症例は胸腺腫再発例です。初発時に放射線治療の既往があり、一部照射野が重なるため、特に食道と脊髄の線量に気を配りながら細長く存在する胸腺腫再発に対して体幹部定位放射線治療の技術を用いて治療しました。

治療後1カ月後には腫瘍はほぼ消失し、半年以上経ったいまでも再発していません(下図)。

胸腺腫再発(f/u)
局所進行肺がん

 局所進行肺がんに対する体幹部定位放射線治療は現在保険適応となっていません。しかし短期間で治療後完了すること,高い腫瘍制御率より,そのような患者さんにも適した治療法です。一方で副作用が出現する可能性が高いことも予想されます。
 以下に挙げる症例は患者さんおよびご家族としっかりと相談して治療した症例であります。
局所進行肺がん(1)治療後
 右の症例は大きな原発巣の他に縦隔リンパ節転移,肺内転移,肝転移を伴っていました。無治療では原発巣の増大が原因となり死亡する可能性が高いと判断し,家族(同僚の呼吸器内科医)と相談し,短期間で効果が期待できるように治療しました。治療は4日間で行われました。
写真は左側が治療前,右側が治療後。
局所進行肺がん(1)治療前
局所進行肺がん(2)治療前 局所進行肺がん(2)治療後
左の症例は肺がん術後3年後に再発を認め,呼吸苦を訴えていました。また肺繊維症を合併していました。2週間の治療により治療直後から呼吸苦は改善されました。
写真は左側が治療前,右側が治療後。

(※肺繊維症患者に放射線治療をすると1/3に急性増悪する可能性あると報告されています。そのことを家族にお話しし,十分に相談した結果治療を施行しました。この症例と併せて2例に施行していますが幸いなことに急性増悪はきたしていません。同様の患者さんに治療の副作用を説明し,2例が治療を断念しています。)
肝がん(1)(線量分布)

肝細胞がん


孤立性肝細胞がんに対する体幹部定位放射線治療の臨床試験を始めました。プロトコール(医療従事者向け)および患者さん向け説明書はPDFファイル(各リンク先)をご覧下さい。



左の写真は,肝細胞がん症例です。この症例では体幹部定位放射線治療前に腫瘍制御+マーキング目的でTAEを施行しました。TAE(肝動脈塞栓療法)後のリピオドールが不十分に腫瘍に集積しています。

2年以上経過しても再発を認めていません。肝細胞がんは放射線感受性が高い腫瘍のようで、局所制御率は今のところ100%です。(ただし肝細胞がんは元々多発する傾向にあり、他の部位から再発することはありますが。)







 原体照射(3D-conformal radiotherapy)
    病巣の形に合わせて照射する範囲を決定
    5mmのマルチリーフコリメータと同室設置のCTにより実現

前立腺がん

  前立腺がんでは、放射線治療は手術と同等の治療成績であることが証明されています。すでに欧米では過半数の方が放射線治療を選択されています。前立腺がんの放射線治療は大きく分けて外照射と小線源治療※に分かれます。当院では外照射のみ施行可能です。
  当院では3次元原体照射という方法を用いて前立腺がんの治療を行っています。これは前立腺の形状に合わせて、高精度に効率よく照射する方法です。そもそも前立腺は頭側に膀胱、背側に直腸と接しており、周囲臓器には十分気をつけて照射する必要があります。
  当院では
     前半の30Gy/15回:前後対向2門
     後半の30-46Gy/15-23回:毎日CTにて位置決め後6門
にて照射します。
(右上図:前後対向2門の線量分布、右下図:6門の線量分布)
前立腺:対向2門
前立腺:6門

  当院では表1に示す低リスク因子をすべて満たすものを低リスクグループとして総線量70Gy/35回の治療を行っています。それ以外の中間〜高リスクグループの患者さんには原則総線量76Gy/38回の治療を行っています。また糖尿病、肝障害や年齢を考慮して適宜線量を下げることがあります。術後腫瘍遺残のある患者さんでは60Gy/30回の治療を行っています。
  いずれにせよ患者さんと相談し、納得いただいたうえで線量を決めています。

PSA
グリソンスコア
TNM分類
低リスク
≦10
2〜6
T1a-T2b
高リスク
>20
8〜10
T2c
表1 リスク分類
※小線源治療
  小線源治療とは全身麻酔下にて経会陰的にシード線源という5mm×1mmのカプセルを前立腺に複数挿入する治療法です。適応は前立腺に限局するがん:stage B(T1c, T2)であり、原則として低リスク群:PSA<10、グリソンスコア≦6かつ前立腺肥大のない方です。
  詳細は東京医療センター泌尿器科のホームページもしくは日本メジフィジックス社のホームページをご参照ください。

乳がん

  早期乳がん患者では乳房温存療法+術後放射線療法+全身療法(ホルモン治療もしくは抗がん剤治療)を併用する治療法が世界的に標準的な治療法としてとなっています。当院では多くの乳がん患者を治療しており、かつ高い温存率を誇っています。

  当院では腋窩リンパ節郭清数が少なく、腋窩の局所制御は放射線治療にゆだねています。放射線治療の方法は乳腺外科医と相談の上、腋窩をしっかり照射野に含めるか、鎖骨上窩領域も含めるかを決めます。治療計画はすべてCTを用いて決めています。

当院で乳房温存療法後に術後放射線治療を行う患者さんにお渡している説明書をPDFファイル(乳がん温存療法術後の患者さんへ)で取り出せますので、参考にしてください。

乳がん:3D線量分布
乳がん:線量分布


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