診療科のご案内

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血管内治療(IVR)を受ける方へ

 

 一般に血管造影はソケイ部(足の付け根)の動脈から鉛筆の芯程度のカテーテルと呼ばれる管を局所麻酔で挿入します。そのため終了後出血しないように約6時間ほど病棟のベッド上で安静臥床が必要となります。体内を造影検査して診断をしたのち各種の治療に移ることになります。(以下の説明には治療法の略号がでてきます。医学的には一般に使われていますので、インターネットなどで調べる場合にも参考にしてください)

①肝臓病の血管内治療について

肝臓病の診断・治療において最も重要な検査であり、治療でもあります。当センターでは年間200人以上の方に行っています。
TAE(肝動脈化学塞栓術):肝臓内の腫瘤(しこり)に対して行う血管内治療です。まず血管造影をCT室(IVR室)で開始して精密なCT検査を行います。これで治療が必要かどうか診断します。続けて治療に移ります。治療には病巣に栄養を供給する肝臓内の動脈を閉塞して病巣を兵糧攻めにして治してしまいます。この際に用いる薬剤等はゼラチンの粒子や少量の抗がん剤のほかにも、一部保険認可がおりていないものも必要に応じて使用します。治療で肝臓をできる限り痛めないように、直径0.6mm程度のカテーテルがかろうじて入るまで肝臓の中の細い動脈に進めて治療していますので複数の病巣にも1回の治療で可能です。治療後数日間の副症状として発熱や上腹部鈍痛、食欲不振などがあります。その際は対症療法を行います。
より治療効果が期待できる場合、血管内治療中に経皮的ラジオ波焼灼術を同時に行う場合があります。この際は痛みが伴いますので十分鎮痛薬を使いますが、術中医師のみでなく看護師もついておりますのでご安心ください。
重篤な合併症は極めて少ないですが、肝腎機能不全、血管損傷(体内・体外出血)などが考えられます。
PSE(脾動脈塞栓術):肝炎が進行しますと脾臓が大きくなり血小板や白血球が減ったり、静脈瘤が悪化してきます。そこで大きくなった脾臓を小さくする血管内治療がPSEと呼ばれます。治療の方法は上述TAEと似ていますが、塞栓剤にはプラチナでできたマイクロコイルとゼラチンの粒子で血管閉塞します。治療時のほとんど症状はありませんが、帰室後みぞおち付近に強い不快感がでる方がいます。必ず翌朝までに軽減しますので不安に思わないでください。原因は胃の血流が突然増えたためで、「胃けいれん」の感じに似ています。翌日以降にでる副症状は発熱と疼痛です。痛みは子供時代に駆けっこのあと左の脇腹が痛くなる、あの感じです。解熱鎮痛剤が効きますので心配しないでください。これも治療後1週間を過ぎて軽減します。治療後1週間は体内の変動が大きいため、採血や超音波検査などが複数あります。
当センターのPSEは新しい方法を開発し(全国の専門施設に当センターの治療法が広まりつつあります)、2001年からの6年間で120人を超える方におこなってきました。幸い重篤な合併症はありませんが、一時的に血小板が減ったり、それに伴う出血傾向がある場合があります。
肝動脈リザーバー留置術:肝臓に治療薬を繰り返し注入したほうが治療効果が期待できる場合には、血管造影を繰り返すのは負担が大きいのでカテーテルを体内に埋め込みます。これを肝動脈リザーバー留置術と呼びます。リザーバーとはプラスティックでできた2cm程度の小さな器具です。これを通常右の太もも前面皮下に埋め込みます。創は2cm程度(3針程度縫います)で、創が安定したら生活上全く制限はありません(お風呂はもちろんスポーツも問題ありません)。また痛みなどもありません。このリザーバーに針を刺して治療を行います(これも主に外来でできます)。
リザーバーを留置したら全く血管造影が不必要になるわけではありません。体内に埋め込んだ器具ですから、安全な状態かをチェックします。また必要に応じて血管内治療などに戻る場合もあります。合併症は器具が体内で破損したり、感染や出血などの可能性があります。リザーバーが不要になったり、問題が生じたりすれば局所麻酔で抜去します。

②その他の血管内治療の説明

胃の巨大静脈瘤を治療するBRTO(カテーテル的胃静脈瘤塞栓術):ソケイ部もしくは頸部の大静脈から風船付きの管を使って体内で血管を固めます。動脈ではないので安全性は高いですが、1~2日間管を抜けない場合などあり、治療のご理解とご協力が必要です。発熱や痛みは通常あまりありません。合併症に血尿、腎障害などがあります。
閉塞性動脈硬化症を治療する血管形成術(PTA):歩くとふくらはぎが痛くなる原因に、足に流れる動脈が細くなる病気(ASOといいます)があります。細くなった血管を風船でふくらましたり、ステントと呼ばれる内張りを入れたりして治す血管内治療がPTAと呼ばれる方法です。動脈硬化そのものの病気のため、血管内治療は難しい場合もあり、重大な合併症の可能性もあります。十分ご相談のうえ行いたいと思います。
身体に負担の少ない血管内治療(IVR)ですが、50歳以上では少なからず動脈硬化があり治療が技術的に難しい方もあります。また各種の薬剤などのアレルギーや虚血性心疾患(心筋梗塞)、肺炎などの偶発症の可能性もあります。いずれの場合も最善を尽くして治療にあたります。

*血管内治療については主治医からも御説明があると思いますが、そのほかでも血管内治療に関するどのようなご質問でもお答えしますので、当センター医師(高塚)までご相談ください。

 

文責:大船中央病院消化器肝臓病センター医師 高塚健太郎(日本IVR学会専門医)

 

 

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