前立腺がんセンター

前立腺がん相談外来

月火水木金土

午前
午後 斉藤 史郎(予約) 斉藤 史郎(予約)

完全予約制(午後3:30~)

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前立腺がんセンターの開設と役割

2021年8月、当院に前立腺がんセンターが開設されました。本センターは前立腺がん診療に特化した部署であり、診断、治療、経過観察の一連の流れを請け負っていきます。 前立腺がんは日本人男性のがんとして最も発生が多いものとなっており、全国で年間90,000人以上が新たに前立腺がんと診断されています。的確な時期に適切な治療を行えば完治する率が高い疾患であるため、診断のための画像検査や生検、治療法の選択は前立腺がん診療において重要なポイントとなります。患者さんの年齢、合併症、生活環境を考慮しながらご本人が納得できる診療を行っていくのが前立腺がんセンターの役割となります。

前立腺がんの診断

前立腺がんの診断には前立腺針生検という検査が必要となります。触診上硬く触れる場所やMRI画像にて前立腺がんが疑われる部位を中心に、専用の細い針を用いて小さな前立腺組織を採取してきますが、当院では入院の上、麻酔をかけて痛くないようにして会陰部(陰嚢と肛門の間の部位)から針を穿刺する方法(経会陰的)で生検を行います。この方法では、広く行われている肛門の中から直腸を通して穿刺する方法(経直腸的)よりも出血や感染の危険性を少なくすることができます。採取された前立腺の組織はホルマリン固定、染色といった行程を経て、病理医が顕微鏡下でがんの診断を行います。

生検を行うべき人

前立腺がんのスクリーニングは腫瘍マーカーであるPSA検査で行います。基本、PSAが4.0ng/ml以上であれば精密検査が望まれますが、生検の適応は年齢、合併症、これまでのPSA値の推移などを考え合わせた上で的確な判断を要します。また、最近ではMRI画像も生検を行うかどうかを決めるうえで大切な要素となってきています。

がんの悪性度を示すグリソンスコア

生検で採取した組織を病理医が顕微鏡でみて前立腺がんの診断をする際、同時にがん組織の細胞構築をみてグリソンスコアと言われる点数をつけます。これは最近のきまりでは6点から10点の5段階評価になっており、点数が高いほどがんの悪性度が高いことになります。悪性度が高いがんは進行が早く、転移もしやすく、治療にも抵抗性であって治りにくいものになります。

病期(ステージ)診断

生検で前立腺がんと診断されると次に画像を用いた病期(ステージ)診断を行います。通常CT、骨シンチ、MRIを用いてがんの転移の有無や、前立腺内の病巣が前立腺の被膜外や精嚢にまで進展していないかを確認します。前立腺がんは骨や骨盤内のリンパ節に転移しやすく、それらの部位を中心に調べます。病期分類は一般にTNM分類を用いますが、前立腺がんの場合、より簡略化したABCD分類を用いることもあります(表1参照)。

リスク分類

がんの診断がついた時のPSA値、グリソンスコア、病期分類(TNM分類)を用いたリスク分類(表2参照)があります。リスク分類は転移のないがん、すなわち完治を目指す治療が可能なものを対象としており、手術や放射線を用いた根治治療を行なった後に再発するリスク(可能性)が低いものを低リスク、再発しやすいものを高リスクとしています。最近では超低リスクや超高リスクなどもあり複雑化していますが、表には基本的な低中高の3つの分類を示しています。

治療方法

前立腺がんと診断され、病期診断が終了したら次はその後の治療方針を決めることになります。診断時すでに多数箇所に転移がみられる場合にはホルモン療法を中心とした全身療法を行うことになります。しかし転移部位が骨盤内のリンパ節や数カ所だけの骨転移にとどまっていれば、最近では転移部位への放射線照射と2〜3年間のホルモン療法を併用する治療を行うことで、ホルモン療法のみを行うよりも治療効果が高まることがわかってきました。 転移がなく、完治を目指す前立腺がんの治療法には放射線治療と手術(前立腺全摘術)があります。また、すぐに治療をせずに病態を監視していく場合もあります。


放射線治療

放射線治療は大きく分けて外照射治療と小線源治療に分けられます。外照射治療は一般にリニアックという装置を用いてX線を体外から患部に照射する治療です。小線源治療は照射対象の臓器の中に線源を挿入して体内から放射線を照射するもので、前立腺がんでは低線量率(LDR)ヨウ素125を密封したシード線源を永久的に前立腺内に留置する方法と、高線量率(HDR)イリジウム192マイクロ線源を一時的に前立腺内に挿入する方法の二通りがありますが、国内ではヨウ素125シード線源を用いた治療が多く行われています。粒子線治療(陽子線、重粒子)などを含めた放射線治療全般に関しては、当院放射線治療センターのホームページに詳しく記載されています。

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前立腺全摘術

前立腺全体と両側の精嚢を合わせて取り除く手術であり、最近では手術用ロボットを用いた方法が主になっています。ロボットを用いた手術は狭い場所での操作や細かい操作に適しており、前立腺のある小骨盤腔での操作や前立腺を取った後の膀胱と尿道の吻合などで威力を発揮しています。がんの治癒率に関しては従来の開腹手術と比べて優位性はありませんが、術後の尿失禁の回復や性機能の温存など生活の質(QOL)に関してはロボット手術の方が優っています。
放射線治療後の前立腺内にがんが再発した場合、従来前立腺全摘術はできないとされていましたが、最近ではロボットを用いた救済前立腺全摘術が一部の施設で行われています。手術後の尿失禁が遷延することがありますが、ロボット手術に熟達した施設であれば実施可能です。


監視療法、無治療経過観察

前立腺がんの中には発育の遅いものもあり、すぐに治療を行わなくてもよいものがあります。がんの悪性度が低く、病巣が小さなものがその対象になります。具体的には生検時のPSAが10ng/ml以下、グリソンスコアが3+3=6、陽性検体の数が少ないものがそれに相当します。このような場合にはすぐに治療をせずにPSA値の変動をみていき、数値が上昇傾向になれば再度生検や画像検査を行なって病態を再評価することも可能です。しかし、どの程度まで待てるのかを示す明確な指標はなく、患者さんにも病気が悪化するリスクを理解してもらわなくてはなりません。


ホルモン療法

前立腺がんの薬物療法の主体はホルモン療法になります。診断時にすでに広範な転移のあるような場合、完治を目指した手術や放射線治療を行なった後に再発をきたした場合、病巣が前立腺内に限局していても年齢や合併症などを理由に根治治療を行わない場合、それに放射線治療の効果を高める目的などにホルモン療法が使用されます。
ホルモン療法は専門的には男性ホルモン枯渇療法といい、精巣から出る男性ホルモンの分泌を抑える治療です。前立腺のがん細胞は男性ホルモンの刺激で増殖します。男性ホルモンを枯渇させるとがん細胞の多くは死滅します。以前は男性ホルモンを枯渇させるために両側の精巣を摘出していましたが、最近では精巣からの男性ホルモンの分泌を抑える作用の注射を定期的(1〜6ヶ月毎)に行う方法が主になっています。また、副腎という臓器からも少量の男性ホルモンが分泌されていますが、これが前立腺のがん細胞に作用しないようにする内服薬(抗アンドロゲン剤)を併用することもあります。
ホルモン療法を開始すると前立腺がん細胞の多くは死滅し、PSA値も低下します。しかしがんが完治することは通常ありません。グリソンスコアが低いがんやがん病巣が小さい場合にはホルモン療法が10年以上も有効である場合がありますが、グリソンスコアが高かったり、がん病巣が大きかったり、転移があるような場合にはホルモン療法が2〜3年で効かなくなることが多いです。ホルモン療法が効かなくなった状態を去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)といいますが、その後は病態が悪化していくことが多く、治療が難しくなります。最近はCRPCに対する新たなホルモン剤や化学療法剤も多く出てきており、以前に比べて病気の進行を遅らせることは可能になっていますが、あまり楽観視できないのが現状です。

治療方法の選択

前立腺がんの治療方法は多岐に渡っており、放射線治療だけでも多くのバリエーションがあります。治療方法を迷う患者さんはどれが自分にとってベストかという質問をしてこられます。これには回答はなく、どうなることが自分にとってベストかを考えてもらわなければなりません。低リスクや程度の低い中間リスクのがんでは、手術でもどのような放射線治療を行っても、一定レベル以上の治療を実施すればがんが治る確率はどれも同等です。ただし治療方法によって起こるかもしれない合併症の種類が異なります。前立腺がん治療に伴う合併症には排尿障害、排便障害、性機能障害、ホルモン療法に伴う代謝障害があります。また、治療にかかる期間、入院の必要性なども異なります。これらを考え合せ、ご自身の生活に重ねて結論をだしていくしかありません。

高リスクがんの治療方針

治療方法で最も問題になるのは高リスクがんです。表に示したように診断時のPSA、グリソンスコア、臨床病期の高いケースです。病期診断時の画像で転移や前立腺周囲への浸潤がみられなくてもミクロでの広がりがすでに存在することが多くあります。高リスクがんに対する放射線治療と一定期間のホルモン療法(6ヶ月〜2年間)の併用治療は、手術よりも再発率が低いとする報告が多くみられます。この一番の理由は手術で取り除く範囲よりも放射線で照射できる範囲の方が広いことにあります。放射線照射の前にホルモン療法を数ヶ月行うことで、がんを小さくして病巣が照射の範囲に収まるようにすると同時に、放射線の作用を強めることができます。
悪性度が高めの中間リスクや高リスクがんの放射線治療で重要なことは、生物学的効果線量(BED)の高い放射線での治療が必要だということです。ヨウ素125シード線源を用いた小線源療法は一般に外照射よりも高いBEDを得ることができます。また、小線源療法と外照射をうまく併用することで一層高いBEDが得られ、なお合併症も減らすことができます。再発を低くするという観点からは、高リスクがんでは小線源療法と外照射、さらにホルモン療法を一定期間(6ヶ月〜2年間)併用するトリモダリティー治療が推奨され、他の様々な治療の再発率と比較した報告では、このトリモダリティー治療の再発率が最も低かったとされています。


担当医師・スタッフ(兼務)

斉藤史郎

「前立腺癌小線源治療を日本で最初に実施し、2021年までに東京医療センターで4000例を超える治療に従事してきました。今後はこの治療を大船中央病院で継続していきます。」

斉藤 史郎
前立腺がんセンター センター長

● 専門分野/ 泌尿器科領域がん治療、前立腺癌小線源療法

・1982年 慶応義塾大学医学部卒業
・日本泌尿器科学会専門医・指導医
・日本医師会認定産業医
・日本がん治療認定医
・日本泌尿器内視鏡学会・日本内視鏡外科学会 腹腔鏡技術認定医
・医学博士

鶴貝 雄一郎

● 専門分野/ 放射線治療、特に体幹部定位放射線治療、前立腺癌

・2003年 鳥取大学医学部卒業
・日本医学放射線学会専門医(放射線治療)
・日本放射線腫瘍学会認定医
・東海大学医学部医学科客員講師
・医学博士号取得(東海大学)

松下 知彦
泌尿器科 部長

● 専門分野/ 泌尿器科一般、男性不妊

・1990年 岡山大学医学部医学科卒業
・日本泌尿器科学会認定 泌尿器科専門医・指導医
・日本生殖医学会認定 生殖医療専門医
・日本性機能学会 専門医
・医学博士

町田 舞子


● 専門分野/ 泌尿器科

・2008年 福岡大学医学部卒業
・日本泌尿器科学会専門医

江里口 智大


● 専門分野/ 泌尿器科

・2005年 東北大学医学部卒業
・日本泌尿器科学会専門医
・日本泌尿器科学会指導医

山中 弘行


● 専門分野/ 泌尿器科

・2007年 横浜市立大学医学部卒業
・日本泌尿器科学会泌尿器科専門医
・日本泌尿器科学会泌尿器科指導医
・日本性機能学会専門医
・がん治療認定医
・身体障害者福祉法第15条指定医(ぼうこう)

武田 篤也
放射線治療センター長

● 専門分野/ 放射線治療(特に定位放射線治療)

・1994年 慶應義塾大学医学部卒業
・日本医学放射線学会専門医(放射線治療)
・日本放射線腫瘍学会認定医
・日本放射線腫瘍学会高精度放射線外部照射部会幹事
・Journal of thoracic disease Editorial Board
・日本学術振興会科学研究費助成事業(科研費)審査委員
・肝癌診療ガイドライン改訂委員会
・放射線科専門委員
・横浜市立大学客員教授
・東海大学客員教授
・慶應義塾大学客員講師
・東京医科歯科大学非常勤講師

江里口 貴久

● 専門分野/ 放射線治療、特に体幹部定位照射

・2008年 慶應義塾大学医学部卒業
・日本医学放射線学会・日本放射線腫瘍学会共同認定放射線治療専門医
・日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
・厚生労働省開催指針準拠 緩和ケア研修会終了

藤井技師

藤井 裕樹

放射線技師

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